
海上輸送と航空輸送の選び方|海外工場からの輸入でコスト・納期・数量を比べる
海外工場でつくった製品を日本に運ぶとき、海上輸送と航空輸送のどちらを選ぶかは、主に「数量」「重さと大きさ」「納期の余裕」「品目」の4つで考えます。まとまった数量の量産品で、納期に余裕があれば海上輸送、サンプルや初回の少量、どうしても間に合わせたい分は航空輸送、というのが基本の考え方です。ただし、航空輸送には運べない品目や条件があるため、品目の確認が先になります。
海上輸送は船で、航空輸送は航空機で貨物を運ぶ方法です。どちらを選ぶかで、運賃だけでなく、工場の出荷日、梱包、必要な書類、日本での在庫の持ち方まで変わります。このコラムでは、海外工場へのOEM・製造委託を進めている担当者の方に向けて、運賃の決まり方、コンテナの使い方、航空輸送の制限、使い分けの進め方を、日本側の窓口として工場と日本の間に立つ立場から整理します。
海上輸送と航空輸送は、何が違うのか
大きな違いは、運べる量と費用、届くまでの時間です。海上輸送はまとまった量を運ぶほど1個あたりの運賃を抑えやすい一方、時間がかかり、港の混雑や天候で予定が動くことがあります。航空輸送は短い日数で届きますが、海上輸送より運賃が高くつき、運べない品目や条件があります。
| 比べる点 | 海上輸送 | 航空輸送 |
|---|---|---|
| 向いている貨物 | 量産品、重い・かさばる製品、納期に余裕のある分 | サンプル、初回の少量、商戦や発売日に間に合わせたい分 |
| 費用の考え方 | 量がまとまるほど1個あたりを抑えやすい | 重さと大きさで決まり、一般に海上輸送より高くなりやすい |
| 日数 | 時間がかかり、遅れを見込んだ計画が要る | 短く済む |
| 先に確かめること | コンテナを1本使うか、混載にするか | その品目が航空輸送できるか |
具体的な日数や運賃は、品目・数量・時期・出発地によって変わるため、このコラムでは数字を挙げていません。案件ごとに、そのときの条件で見積りを取って比べます。比べ方の基本は輸出入・国際物流のページでもご紹介しています。
国際輸送の運賃は、どのように決まるのか
日本貿易振興機構(ジェトロ)の貿易・投資相談Q&Aでは、貨物運賃を決定する主な要因として、貨物の重量や容積、貨物の品目や内容、運送区間の3つが挙げられています。同じ数量でも、重いのか、かさばるのか、何を運ぶのか、どこからどこへ運ぶのかで運賃が変わるということです。
定期船の海上運賃については、基本運賃は、コンテナ1本あたりの一括運賃(ボックスレート)か、原則として容積または重量の高い方のトン数に賃率をかけて計算すると説明されています。これに、燃料費や通貨の変動、港の混雑、繁忙期などに応じた割増料金が加わることがあります。また、需給状況や経済事情により料金改定が行われるため、運賃は船会社・航空代理店に事前に確認するよう案内されています。
海上輸送では、FCL(コンテナ1本単位)はコンテナ単位の料金が基本となり、LCL(混載)は貨物の容積または重量を基準に計算されるのが一般的です。これに燃料・港湾混雑等のサーチャージやCFS関連費用等が加わる場合があります。
航空輸送でも、実際の重さだけでなく、大きさを重さに置き換えた値も使って運賃を計算するのが一般的です。航空貨物では、実重量と容積重量を比較し、一般に大きい方が課金重量として使われます。軽くてかさばる製品は、重さのわりに運賃が高くなりやすいため、梱包の大きさを見直すだけで運賃が変わることがあります。換算の方法は、利用する航空会社や運送事業者に確認します。
運賃以外にかかる費用も見込んでおく
同じQ&Aでは、海上運賃以外に輸入貨物にかかる一般的な費用として、貨物海上保険料、コンテナ貨物留置料、輸入関税・内国消費税、輸入通関料、混載貨物の取扱料金、税関検査に伴う搬送・開梱・再梱包等の費用、倉庫保管料、国内輸送費などが挙げられています。輸送手段を比べるときは、運賃だけでなく、こうした費用を含めた「日本の指定場所に届くまでの総額」で比べます。見積りの条件がそろっていないと比べられない点は、コラム「海外工場の見積りの読み方|材料費・加工費・型代の内訳と比べ方」で整理しています。
コンテナを1本使うか、混載にするかはどう決めるのか
海上輸送では、コンテナを1本まるごと使う方法と、ほかの荷主の貨物と1本のコンテナを分け合う混載の方法があります。どちらがよいかは、貨物の量と、運賃以外の費用を含めた総額で考えます。
- コンテナを1本使う:量がまとまる量産品に向いています。工場などでコンテナに積み込み、そのまま運ぶため、積み替えによる破損や紛失のおそれを小さくしやすい方法です
- 混載にする:コンテナ1本に満たない量に向いています。必要な分だけ運べる一方、ほかの貨物とまとめるための取扱いの費用や、仕分けのための日数がかかります
量が中途半端なときは、混載で何回かに分けて運ぶか、出荷をまとめてコンテナ1本にするかを、在庫の持ち方とあわせて比べます。出荷をまとめると運賃は抑えやすくなりますが、支払条件によってはそのぶん先にまとまった代金が必要になり、日本で保管する在庫も増えます。
航空輸送で運べないものはあるのか
あります。国土交通省は、リチウム電池、花火、スプレー缶、ドライアイスなどの危険物の航空輸送は原則として禁止としたうえで、ルールに従って正しい容器・梱包や表示等を行えば航空輸送できるものもあると案内しています。また、内容品に危険物が含まれていないかを把握し、品名を具体的に記載して正確に申告するよう呼びかけています(航空貨物の危険物輸送について・国土交通省ウェブサイト)。
注意したいのは、製品そのものではなく、製品に組み込まれた部品や付属品が該当する場合です。国土交通省の海上輸送向けの案内では、電動機器・電気機器は火薬・蓄電池・リチウム電池等の危険物を含む場合があり、家庭用品もエアゾール・塗料等の危険物を含む場合があるとされています(危険物の判定・国土交通省ウェブサイト)。海上輸送でも危険物には決まりがあるため、どちらで運ぶ場合も、電池を内蔵した製品、スプレー、塗料や接着剤を使う製品などは、早い段階で該当するかを確かめます。
国土交通省は、製品が航空輸送できるかどうかはメーカー等に確認するよう案内しており、安全データシート(SDS:化学品の危険有害性などを記した文書)や製品パッケージの絵表示も判断の手がかりになるとしています。海外工場に製造を任せる場合は、工場や部品の仕入れ先から、こうした資料を出荷前に受け取れるようにしておきます。
なお、航空輸送ができない貨物であっても、海上輸送で無条件に運べるとは限りません。海上輸送にも危険物に関する規則があるため、品目ごとに事前確認が必要です。
数量と納期から、どう使い分ければよいのか
使い分けは、製品ごとに一度決めて終わりではなく、開発から量産までの段階ごとに考えます。
- サンプルの段階:数が少なく、確認を早く進めたいため、航空輸送が中心になります。品目によっては航空で運べないため、その場合はサンプルの段階から別の方法を考えます
- 初回の量産:発売日や商戦に間に合わせたい分だけを航空輸送で先に送り、残りを海上輸送で送るという分け方もあります
- 継続の量産:海上輸送を基本にし、遅れを見込んで在庫と発注の時期を組み立てます
- 遅れが出たとき:欠品を避けるために一部を航空輸送に切り替えることがありますが、運賃が大きく変わるため、どこまでなら切り替えるかを事前に決めておくと判断が早くなります
納期は「工場の出荷日」ではなく「日本の指定場所に届く日」から逆算します。海上輸送を選ぶなら、そのぶん工場の出荷日を前に置く必要があり、量産の開始や出荷前の検品の日程にも影響します。出荷前の検品で何をどこまで確認するかは、コラム「出荷前検品とは?海外工場の量産品で何を・どこまで確認するのかを解説」で整理しています。
輸送手段は、いつ決めておくのがよいのか
輸送手段は、工場に発注を出す前、見積りを比べる段階で決めておくのが理想です。輸送手段によって、工場に求める梱包、工場が用意する書類、見積りの取引条件が変わるためです。
たとえば、海上輸送では長い期間の揺れや湿気に耐える梱包が要り、航空輸送では大きさを抑えた梱包が運賃に効きます。取引条件も、工場が輸出する港・空港で引き渡すまでを受け持つのか、日本まで運ぶのかによって、見積りに含まれる費用の範囲が変わります。発注のあとに輸送手段を変えると、梱包の作り直しや、条件の取り決めの見直しが必要になることがあります。
あわせて、その品目を日本に輸入するために、手続きや基準の確認が必要かどうかも、発注の前に確かめておきます。つくってから輸入できないと分かると、それまでにかけた費用と時間が無駄になってしまうためです。
出典:日本貿易振興機構(ジェトロ)ウェブサイト「貿易・投資相談Q&A 貨物運賃の基準および運賃以外の費用:日本」、国土交通省ウェブサイト「航空貨物の危険物輸送について」「危険物の判定」。本記事では、これらの内容を要約・編集して紹介しています。
プロキシー・コーに相談できること
株式会社プロキシー・コーは、日本企業の海外製造を日本側の窓口として管理する会社です。工場でできあがってから日本の指定場所に届くまでについて、梱包の指示、数量・納期・単価から見た海上輸送と航空輸送の選定、必要な書類の洗い出しを行い、港・空港から指定場所への配送を手配します。通関の手続きは、通関業者と連携して手配します。製造から納品までの窓口が分かれないため、到着後に数量の違いや破損などの問題が出た場合も、連絡先は当社のままです。進め方は輸出入・国際物流のページでご紹介しています。製品の代金と、輸送・通関にかかる実費は、当社の費用とは別に発生します。どこまでが当社の費用で、どこからが実費なのかは、見積りの段階で分けてご提示します。初回ヒアリング・簡易相談は無料です。具体的な工場調査、設計・開発、試作、現地対応等が必要な場合は、内容を確認のうえ事前にお見積りいたします。「この製品は航空で送れるのか」「海上と航空をどう分ければよいか」といった段階から、お問い合わせでご相談ください。

