海外製造のコラム

出荷前検品とは?海外工場の量産品で何を・どこまで確認するのかを解説

出荷前検品とは?海外工場の量産品で何を・どこまで確認するのか(株式会社プロキシー・コー)

出荷前検品とは、海外工場で量産した製品を、工場から出荷する前に、事前に取り決めた基準と照らして確認することです。出荷前検査(Pre-Shipment Inspection / PSI)とも呼ばれます。確認する項目は主に「数量・外観・寸法や機能・表示やラベル・梱包・同梱物」の6つで、全数を見るか抜き取りで見るかは、製品と数量に応じて決めます。

ただし、出荷前検品は品質をつくる工程ではなく、最後に確かめる工程です。何を良品とするかを工場と先に共有しておかなければ、検品の場で合否を決められず、不良を止められないことがあります。このコラムでは、海外工場へのOEM・製造委託で出荷前検品を行うときに、何をどこまで確認し、何を先に決めておけばよいかを、日本側の窓口として工場と日本の間に立つ立場から整理します。

出荷前検品は何のために行うのか

出荷前検品の目的は、注文どおりの数量と品質がそろっているかを、製品が工場を出る前に確かめることです。工場を出たあとに不良が見つかると、取れる手段が限られてしまうためです。

海外工場から出荷された製品は、輸送・通関を経て日本に届きます。日本に着いてから不良が見つかった場合、返送する、日本国内で選別する、現地へ送り返して手直しするといった対応はどれも、時間と費用が余分にかかります。製品がまだ工場にある段階であれば、選別や手直しを工場に指示する余地が残ります。出荷前検品は、この「まだ直せるうちに見る」ための工程です。

量産前・生産中の確認と、出荷前検品はどう違うのか

出荷前検品は、品質を確認する複数の段階のうち最後のひとつです。量産前や生産中の確認と組み合わせることで、不良を早い段階で止めやすくなります。

段階 確認するタイミング 主な目的
サンプルの承認 量産の仕様を決めるとき 合否の基準になる見本を確定する
量産前の確認 量産に入る直前 材料・工程・金型・治具が承認した仕様どおりかを見る
生産中の確認 ラインが動いているあいだ 工程のずれを、出来上がる前に見つけて直す
出荷前検品 量産品が梱包された段階 出荷してよい状態かを最終的に判断する

出荷前検品だけで品質を守ろうとすると、不良が見つかったときにはすでに全量が出来上がっています。量産前・生産中の確認で原因を早めに止めておくほど、出荷前検品で大きな問題が出にくくなります。

出荷前検品では何をどこまで確認するのか

出荷前検品で確認する項目は、数量・外観・寸法や機能・表示やラベル・梱包・同梱物の6つに整理できます。どの項目に重点を置くかは、製品によって変わります。

項目 確認する内容の例
数量 発注数と梱包数が合っているか。外箱の入り数の表示と中身が一致しているか
外観 キズ・汚れ・色ムラ・バリ(成形や加工で出る余分な突起)・印刷のずれ。承認サンプルと見比べる
寸法・機能 指定した寸法と公差(許される誤差の幅)に収まっているか。可動部・電源・組み立てが仕様どおりに動くか
表示・ラベル 取引先が求める表示、法令で必要な表示、型番やバーコードの内容
梱包 輸送に耐えられるか。緩衝材、外箱の強度、パレット(荷台)への積み方
同梱物 取扱説明書・保証書・付属品がそろっているか。言語と版が正しいか

製品そのものと同じように確認しておきたいのが、梱包と表示です。製品そのものに問題がなくても、梱包が弱ければ輸送中に傷がつきますし、表示が日本の取引先の求める形になっていなければ、そのままでは納品できないことがあります。

表示・ラベルは日本の法令も確認しておく

日本で販売する製品は、品目によって法令上の表示が求められます。例えば、家庭用品品質表示法(消費者庁ウェブサイト)の対象商品を日本国内の一般消費者向けに販売する場合、同法に基づく法定表示事項を日本語で適正に表示する必要があります。輸入品についても同法の対象となります。

また、製品によっては消費生活用製品安全法など、別の法令の対象となる場合があります。特定製品に該当する場合には、製造・輸入事業者に事業届出、技術基準への適合確認、自主検査・記録保存、PSCマークの表示等が求められる場合があります。

必要な表示や手続きは製品区分によって異なるため、商品企画・仕様を決める段階で、その製品がどの法令の対象となるかを確認しておくことが重要です。

全数検品と抜き取り検品はどう選ぶのか

全数検品はすべての製品を確認する方法、抜き取り検品は決めた数だけを取り出して確認し、その結果でロット(同じ条件で生産したひとまとまり)全体の合否を判断する方法です。どちらにするかは、不良が出たときの影響の大きさと、数量・費用・時間のバランスで決めます。

  • 全数検品が向く場面:不良がそのまま事故や大きな損失につながる製品、数量が少ない製品、これまで不良が続いている製品
  • 抜き取り検品が向く場面:数量が多く、全数を見ると時間や費用が見合わない製品、工程が安定している製品

抜き取り検品を選ぶ場合は、何個を取り出すか、何個までの不良なら合格とするか、不良の重さ(使用に支障があるものと、見た目の軽いものなど)をどう分けて数えるかを、検品の前に工場と取り決めておく必要があります。具体的には、検査水準やAQL(合格品質限界)、不良区分(Critical/Major/Minor)などの判定基準を事前に決めておきます。検査水準とAQLから、取り出す数と合格とする不良の数を決める方法は、JIS Z 9015-1(計数値検査に対する抜取検査手順)などの規格に定められています。ここがあいまいなまま検品すると、結果を見てから基準を議論することになり、合否の判断が遅れます。

検品の前に工場と決めておくことは何か

出荷前検品がうまく機能するかどうかは、検品の当日より前に決まっています。少なくとも次の5点は、量産前に工場と文書で共有しておくと、検品の場で判断に迷いにくくなります。

  1. 合否の基準:承認サンプル、寸法と公差、色の指定、キズや汚れをどこまで許すかの範囲。言葉だけでなく、見本や写真で示す
  2. 検品の項目と方法:6つの項目のうち何を見るか、全数か抜き取りか、どの道具・どの方法で測るか
  3. 合否を判断する人:現場で迷う不良が出たときに、だれに確認して決めるか
  4. 不合格のときの対応:出荷を保留したあと、選別・手直し・再生産のどれを、だれの費用負担で行うか
  5. 報告の形式:結果をどの形で受け取るか。基準を満たさなかった項目は、写真とあわせて何がどう違ったかが分かるようにする

特に4番目の不合格時の対応は、取り決めがないまま不良が出ると、納期が迫るなかで工場と費用負担の話し合いから始めることになります。発注の段階で決めておくと、いざというときの判断が早くなります。

検品で不合格になったら、出荷はどうなるのか

出荷前検品で基準を満たさなかった場合は、出荷を保留し、選別・手直し・再生産のどれで対応するかを検討します。どれを選ぶかは、不良の中身と納期への影響を見て判断します。

  • 選別:良品と不良品を分け、良品だけを出荷する。不良が一部の製品にとどまるときの方法
  • 手直し:その場で直せる不良(ラベルの貼り直し、梱包のやり直しなど)を工場に直させてから出荷する
  • 再生産:工程や材料に原因があり、直しても基準に届かないときに作り直す。作り直す分の時間がかかるため、納期への影響を見込んで判断する

あわせて、なぜ不良が出たのかを工場と確認し、次のロットで同じ不良を出さないための対策まで話し合っておくことが、次回以降の品質の安定につながります。改善が見込めない場合には、取引する工場そのものを見直す判断が必要になることもあります(海外工場・サプライヤー選定)。

出荷前検品を外部に任せるときは何を確認すればよいか

出荷前検品は、発注した会社の担当者が現地へ行く、工場が行う自主検査の報告を受ける、検品会社や検品代行に依頼する、といった方法で行われます。外部に任せる場合は、次の3点を事前に確かめておくと、依頼したあとの食い違いを防げます。

  • 検品の基準をだれが作るか:依頼先が基準づくりから関わるのか、発注側が作った基準どおりに見るだけなのか
  • 報告に何が含まれるか:合否の結果だけか、写真や測定値、基準を満たさなかった項目の詳細まで含まれるか
  • 不合格のあとをだれが受け持つか:工場との交渉、手直しの確認、再検品まで依頼できるのか

検品の結果を受け取っても、そのあとの工場とのやり取りを自社で行う必要があるなら、そのための時間と体制も見込んでおく必要があります。

プロキシー・コーに相談できること

株式会社プロキシー・コーは、日本企業の海外製造を日本側の窓口として管理する会社です。案件内容や製造国に応じて、現地パートナー・協力スタッフ・検品会社等と連携し、仕様確認・生産中確認・出荷前検品などを行います。必要な検品体制は案件ごとにご提案します。いま取引のある工場をそのままに、検品の基準づくりから出荷前の確認・報告までをお任せいただく、検品だけのご相談にも対応しています。進め方の詳細は品質管理・検品のページでご紹介しています。「品質が安定しない」「受け入れ検査に手が回らない」といった段階でも、お問い合わせから現状をお聞かせください。

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